「歯の再生医療はもう実用化されているの?」「失った歯が生えてくる治療はいつから受けられるの?」と気になって調べている方は多いのではないでしょうか。
ニュースで「歯生え薬」という言葉を目にして、自分の歯にも使える日が近いのか知りたいという声もよく耳にします。
結論からお伝えすると、歯の再生医療には「すでに歯科医院で受けられるもの」と「まだ治験・研究の段階にあるもの」の2種類があります。
歯の神経を再生する歯髄再生治療や、歯周病で失った組織を再生する歯周組織再生療法は、すでに実際の診療で行われています。
一方で、抜けた歯そのものを生やす薬や、歯を丸ごと作り出す技術は、まだ人での安全性を確かめている段階です。
この記事では、いま実用化されている歯の再生医療の種類、歯髄再生が実用化されるまでの経緯、研究段階の技術がいつ頃実用化されそうか、受けられる人の条件や費用までを一つにまとめて解説します。
神経を抜くと言われた歯がある方や、ご自身が再生医療の対象になるか知りたい方は、読み進めながら当てはまる部分をチェックしてみてください。
記事を読んでも判断がつかない場合は、歯の状態を実際に診たうえでお答えできますので、赤坂さくら歯科・矯正歯科へご相談ください。
歯の再生医療はいつ実用化された?いま受けられるものと研究段階のもの

歯の再生医療とは、細胞や成長因子などの力を利用して、失われた歯の組織や機能を取り戻そうとする医療の総称です。
「歯の再生医療」とひとことで言っても、対象となる組織や技術の成熟度はさまざまで、実用化の時期も大きく異なります。
まずは全体像をつかむために、いま受けられるものと研究段階のものを分けて整理しましょう。
すでに実用化されている歯の再生医療
現在、歯科医院で実際に受けられる歯の再生医療の代表は、歯髄再生治療、象牙質再生治療、歯周組織再生療法の3つです。
歯髄再生治療は、親知らずなどの不要な歯から取り出した歯髄幹細胞を培養し、神経を失った歯の根の中に移植して歯髄を再生させる治療です。
一般社団法人歯科再生医療協会の解説では、歯髄再生治療は2020年8月から、歯髄とあわせて象牙質の再生を目指す象牙質再生治療は2023年6月から実用化されたとされています。
歯周組織再生療法は、歯周病で失われた歯を支える骨や組織の再生を促す治療で、成長因子製剤を使う方法などがすでに一般の歯科診療で用いられています。
まだ治験・研究段階にある歯の再生医療
一方、まだ実用化されていないのが、歯そのものを新しく生やしたり作り出したりする技術です。
代表的なものが、歯の成長を抑えるたんぱく質の働きを止めて歯を生やすことを目指す「歯生え薬」と呼ばれる抗体医薬で、現在は人での安全性を確かめる治験が行われています。
報道では2030年頃の実用化を目指していると伝えられていますが、最初の対象は生まれつき歯の数が少ない先天性の病気の方で、虫歯や加齢で歯を失った方への応用はその先の目標です。
このほか、幹細胞から歯を丸ごと作り出す研究も進んでいますが、動物での研究が中心で、実用化の時期はまだ見通せていません。
ひと目でわかる歯の再生医療の実用化状況
それぞれの技術の現状を表にまとめると次のようになります。
| 技術 | 再生を目指すもの | 現在の状況 |
|---|---|---|
| 歯髄再生治療 | 歯の神経・血管(歯髄) | 実用化済み(歯科再生医療協会の解説では2020年8月から)。再生医療等安全性確保法にもとづく自由診療 |
| 象牙質再生治療 | 歯髄と象牙質 | 実用化済み(同協会の解説では2023年6月から) |
| 歯周組織再生療法 | 歯を支える骨・歯根膜など | 実用化済み(成長因子製剤リグロスは2016年承認) |
| 歯生え薬(抗USAG-1抗体) | 歯そのもの | 第I相治験中。2030年頃の実用化を目指すと報じられている |
| 幹細胞から歯を作る研究 | 歯そのもの | 基礎研究・動物実験の段階 |
つまり、「歯の再生医療はまだ未来の話」というわけではなく、神経や歯周組織の再生はすでに現実の選択肢になっています。
ご自身の歯がどの治療の対象になり得るかは、レントゲンやCTで根の状態や骨の量を確認しないと判断できないため、気になる歯がある方は一度診察で確かめてみてください。
実用化されている歯の再生医療の種類と特徴
ここからは、いま実際に受けられる歯の再生医療について、それぞれの仕組みと向いているケースを見ていきます。
同じ「再生」でも、神経を再生するのか、歯を支える組織を再生するのかで目的がまったく異なる点に注目してください。
歯髄再生治療|失った歯の神経を取り戻す
歯髄とは、歯の内部にある神経や血管を含むやわらかい組織で、歯に栄養や水分を届け、刺激を感じ取る役割を担っています。
深い虫歯や外傷で歯髄が感染すると、従来は神経を取り除く「抜髄」を行い、根の中を薬で埋めるのが一般的でした。
しかし神経を失った歯は栄養が届かなくなるため、もろくなって割れやすくなったり、変色したり、再び感染しても痛みで気づきにくくなったりします。
歯髄再生治療は、親知らずや乳歯などの不要な歯から歯髄幹細胞を取り出して培養し、きれいに消毒した根管内に移植することで、歯髄の再生を目指す治療です。
歯科再生医療協会の解説では、移植後はまわりの組織から細胞が集まって血管や神経が伸びていき、6か月から1年ほどかけて歯髄が再生していく流れが示されています。
自分の細胞を使う治療のため、他人の細胞や動物由来の材料を使う場合と比べて拒絶反応の心配が少ないとされています。
幹細胞がどのように神経や血管を作り出すのかという仕組みについては、別の記事で詳しくまとめています。
詳しくは「歯髄再生治療の仕組みとは?歯髄幹細胞が神経を再生するメカニズムを解説」をご覧ください。
関連記事歯髄再生治療の仕組みとは?歯髄幹細胞が神経を再生するメカニズムを解説歯髄再生治療は、なぜ神経を取った歯に新しい神経を作ることができるのでしょうか。 … 続きを読む →
象牙質再生治療|歯髄とあわせて歯の内側を補強する
象牙質は、エナメル質の内側にあって歯の大部分を占めるかたい組織で、歯髄とともに歯の強さを支えています。
象牙質再生治療は、歯髄幹細胞の移植にあわせて象牙質の再生も目指す治療で、歯科再生医療協会の解説では2023年6月から実用化されたとされています。
同協会が示す治療の流れでは、抜いた歯を加工したものと培養した幹細胞をあわせて根管内に移植し、歯髄とともに象牙質の形成を促します。
根の中で象牙質が作られることで、神経を取った歯で問題になりやすい「根の内側の薄さ」を補えることが期待されています。
歯髄再生と象牙質再生のどちらが適しているかは、根の太さや残っている歯質の量によって変わるため、診察で確認したうえでご提案することになります。
歯周組織再生療法|歯を支える骨や組織を取り戻す

歯周組織再生療法は、歯周病で溶けてしまった歯槽骨や歯根膜など、歯を支える組織の再生を促す治療です。
歯ぐきを開いて歯の根の表面や骨の周囲の汚れを取り除いたあと、再生を助ける材料を使って組織の回復を促します。
代表的な方法には、特殊な膜で骨が再生するスペースを確保するGTR法、歯の発生に関わるたんぱく質を主成分とするゲルを塗るエムドゲインを用いた方法、成長因子製剤を使う方法があります。
大阪大学の研究紹介によると、同大学の研究チームが開発した成長因子製剤「リグロス」(一般名トラフェルミン)は、世界で初めての歯周組織再生剤として2016年9月に厚生労働省の承認を受けました。
リグロスは保険診療でも使われている薬剤ですが、当院は自由診療専門のため保険診療は行っていません。
なお、骨の失われ方によっては再生療法の効果が期待しにくいこともあり、適応は検査で骨の形や深さを確認して判断されます。
インプラントや骨造成は「再生医療」とは別の治療

失った歯を補うインプラント治療や、インプラントのために骨を増やす骨造成は、歯の再生医療と一緒に紹介されることがあります。
しかしインプラントは人工の歯根を骨に埋め込んで歯の代わりにする治療であり、自分の歯や組織そのものを再生させる治療ではありません。
「歯の再生医療で歯が元に戻る」と誤解したまま治療を選ばないよう、再生医療は「神経や歯を支える組織を取り戻すもの」、インプラントは「失った歯を人工物で補うもの」と区別して考えておくと安心です。
どの治療が自分の歯に合っているかは、歯の根や骨の状態で大きく変わるため、選択肢を比べたい方は診察で説明を受けてから検討してみてください。
歯髄再生が実用化されるまでの経緯
「歯髄再生の実用化は何年?」という疑問に答えるには、ここに至るまでの研究と制度の流れを知っておくと理解しやすくなります。
歯髄再生は突然登場した治療ではなく、幹細胞研究の進展と、再生医療を安全に提供するための法律の整備が重なって実現しました。
歯髄幹細胞の研究が進んだ
歯髄の中には、神経や血管、象牙質を作る細胞のもとになる「歯髄幹細胞」が含まれていることが知られるようになり、国内外で研究が進められてきました。
国内では国立長寿医療研究センターの研究グループが、歯髄幹細胞を使って歯髄と象牙質を再生させる治療法の研究開発に長く取り組んできました。
同センターの研究報告では、歯髄幹細胞を用いた歯髄・象牙質再生による虫歯や歯髄の病気の治療法について、臨床応用に向けた開発が進められてきたことが示されています。
こうした研究の積み重ねが、のちに歯科医院で提供される歯髄再生治療の土台になっています。
人での臨床研究で安全性が確認された
2017年には、歯髄幹細胞の移植による歯髄再生の臨床研究の結果が、国際学術誌「Stem Cell Research & Therapy」に報告されました。
この報告では、元に戻らない歯髄炎の患者5人に、抜いた歯から取り出して培養した歯髄幹細胞を移植し、最長24週間経過を観察しています。
報告によると、移植による有害事象は認められず、4週目には歯髄の反応を調べる電気歯髄診で陽性反応が確認されました。
人での安全性が確かめられたことは、歯髄再生を実際の診療へ広げていくうえで大きな一歩となりました。
法律の整備を経て2020年に実用化された
日本では、細胞を使った治療を安全に行うために「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」が2014年に施行されました。
この法律では、再生医療をリスクの高さに応じて第一種から第三種に分け、医療機関が治療を提供する前に審査と届け出を行うことが義務づけられています。
歯科再生医療協会によると、歯髄再生治療は第二種再生医療に該当し、専門の委員会の審査を通過したうえで、厚生労働省(地方厚生局)に提供計画が受理された歯科医院だけが行えます。
同協会の解説では、こうした手続きを経て歯髄再生治療は2020年8月から実用化され、2023年6月には象牙質再生治療も実用化されたとされています。
つまり「歯髄再生の実用化は何年か」という問いへの答えは、「すでに2020年から、認められた歯科医院で受けられるようになっている」ということになります。
他人の歯髄幹細胞を使う臨床研究も始まっている
現在の歯髄再生治療は、原則として自分の不要な歯から採取した細胞を使う方法です。
これに対し、2025年2月には、他人から提供された歯髄幹細胞を使う歯髄再生治療の臨床研究を開始したと、神戸市の歯科医院が発表しています。
この臨床研究は安全性を確かめる段階のもので、一般の歯科医院で他人の細胞を使った歯髄再生が受けられるようになったわけではありません。
将来、この方法が実用化されれば、親知らずなどの不要な歯がない方にも選択肢が広がる可能性があります。
こうした経緯から分かるように、歯髄再生はすでに受けられる治療ですが、どの医院でも受けられるわけではないため、提供体制が整った医院かどうかを確かめてから相談するのが安心です。
研究段階の歯の再生医療と実用化の見通し
「歯 再生 いつから」と検索する方の多くが気になっているのは、抜けてしまった歯がもう一度生えてくる治療がいつ受けられるのかという点ではないでしょうか。
ここでは、ニュースで話題になった歯生え薬を中心に、研究段階の技術の現在地と見通しを整理します。
歯を生やす薬(抗USAG-1抗体)の治験
歯生え薬と呼ばれているのは、歯の成長にブレーキをかけるたんぱく質「USAG-1」の働きを抑える抗体医薬です。
日本医療研究開発機構(AMED)の2021年2月の発表では、京都大学などの研究グループが、この抗体を投与することで生まれつき歯が少ないマウスの歯の形成を回復させ、フェレットでも新しい歯の形成を確認したと報告しています。
この研究をもとに設立された京都大学発のベンチャー企業トレジェムバイオファーマが開発を進めており、北野病院の発表では、2024年9月から京都大学医学部附属病院で健康な成人男性を対象とした第I相の医師主導治験が予定されました。
トレジェムバイオファーマの2025年9月の発表では、この抗体「TRG035」が重症型先天性部分無歯症を対象とした希少疾病用医薬品に指定され、国内で第I相臨床試験が進行中とされています。
開発元は2030年頃の実用化を目指していると報じられていますが、治験の結果しだいで時期が変わる可能性もあります。
虫歯や加齢で歯を失った人に使えるのはさらに先
歯生え薬の最初の対象として想定されているのは、生まれつき多くの永久歯がない先天性無歯症の患者さんです。
北野病院の発表では、第I相の次に先天性無歯症の小児を対象とした試験が予定され、その後に加齢などで後から歯を失った方への応用も計画されているとされています。
そのため、虫歯や歯周病で歯を失った大人が歯生え薬を使えるようになる時期は、現時点でははっきりしていません。
「数年待てば歯が生えてくるから、今の歯は治療しなくてよい」と考えるのではなく、いまある歯を残すための治療を優先することが大切です。
歯そのものを作る研究は基礎研究の段階
歯生え薬とは別に、幹細胞などから歯のもとを作り、あごに移植して歯を丸ごと再生させようとする研究も進められています。
日本歯科医師会の一般向け解説でも、幹細胞を用いてマウスの歯を再生させることに成功した段階であり、人への応用には安全性や有効性の確認が必要と説明されています。
研究段階にある歯の再生医療の内容や課題については、別の記事で詳しく解説しています。
詳しくは「歯の再生医療はどこまで進んでいるの?研究中の再生医療まで徹底解説」をご覧ください。
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研究段階の技術を待つよりも、いま受けられる治療で残せる歯があるかどうかを知ることが先決ですので、気になる歯がある方は早めに診察を受けてみてください。
いま歯の再生医療を受けられる人・条件
実用化されている歯髄再生治療でも、誰でも・どの歯でも受けられるわけではありません。
ここでは、歯髄再生治療を検討するときに確認しておきたい主な条件を紹介します。
歯髄再生治療の対象になりやすいケース
歯髄再生治療が検討されるのは、深い虫歯や外傷で歯髄が感染・損傷し、神経を取る必要があると言われた歯などです。
一方で、根が大きく割れている歯や、根の周りの骨が大きく失われている歯などは、再生治療の前に歯を残せるかどうかの判断が必要です。
根の形や感染の広がりは見た目では分からないため、CTなどで根の内部を確認したうえで適応を判断します。
細胞を取り出すための不要な歯が必要
歯髄再生治療では、自分の歯髄幹細胞を培養して使うため、細胞を取り出すための不要な歯が必要です。
歯科再生医療協会の解説では、かみ合わせに関係しない親知らず、矯正治療で抜く予定の歯、生え変わる前の乳歯などが挙げられています。
いますぐ治療が必要な歯がなくても、抜く予定の親知らずがある場合は、将来に備えて歯髄幹細胞を保管しておくという考え方もあります。
詳しくは「親知らずは抜く前に保管を|歯髄幹細胞バンクという将来への備え」をご覧ください。
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治療期間と通院の見通し
歯髄再生治療は、細胞の採取と培養、根管内の消毒、移植、経過観察という段階を踏むため、一般的な根の治療よりも期間が長くなります。
歯科再生医療協会の解説では、移植後6か月から1年ほどで歯髄や象牙質が再生し、その後に被せ物を装着する流れが示されています。
培養の状況や根の消毒にかかる回数は人によって異なるため、具体的なスケジュールは診察時にご説明します。
ご自身が条件を満たすかどうかは、歯の状態と不要な歯の有無をあわせて確認する必要がありますので、まずは診察で相談してみてください。
抜いた親知らずなどの歯から細胞を取り出して使う歯髄再生治療の流れは、院長の土黒さくらが動画でも解説しています。
歯の再生医療の費用
歯髄再生治療は再生医療等安全性確保法にもとづく自由診療のため、費用は全額自己負担となり、医療機関ごとに金額が異なります。
当院は自由診療専門のため保険診療は行っておらず、再生医療に関わる費用も含めてすべて自由診療でのご案内となります。
赤坂さくら歯科・矯正歯科の主な料金(税込)は次のとおりです。
| 項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 初診カウンセリング(60〜90分・CT含む) | 9,900円 |
| 歯髄再生(前歯) | 440,000円 |
| 歯髄再生(小臼歯) | 660,000円 |
| 歯髄再生(大臼歯) | 770,000円 |
| 象牙質再生 | 165,000円 |
| 歯髄再生時の根管治療 | 165,000円・220,000円 |
歯髄再生を行う歯は、移植の前に根の中を徹底的にきれいにする必要があるため、歯の状態によっては根管治療の費用が別途かかります。
どの項目が必要になるかは歯の種類や根の状態によって変わるため、検査のうえで総額をご説明してから治療を進めます。
最新の料金は「料金表」でご確認いただけます。
費用相場の考え方や、費用に見合う効果が期待できるかの判断材料については、別の記事で詳しく解説しています。
詳しくは「歯髄再生治療の費用相場は?効果やメリット・デメリットまで解説」をご覧ください。
関連記事歯髄再生治療の費用相場は?効果やメリット・デメリットまで解説歯髄再生治療の費用相場は前歯が660,000円、中間の歯が800,000円ほど、 … 続きを読む →
ご自身の歯でいくらかかるのかを知りたい方は、初診カウンセリングでCTを撮影したうえで見積もりをお出ししますので、お気軽にご相談ください。
歯の再生医療を受ける歯科医院の選び方
歯髄再生治療は、法律にもとづく手続きを経た医療機関でしか提供できないため、医院選びが治療の前提になります。
ここでは、医院を選ぶときに確認しておきたいポイントを紹介します。
再生医療の提供計画が受理されているか
歯髄再生治療を行うには、再生医療等安全性確保法にもとづき、委員会の審査を経て提供計画を地方厚生局に提出し、受理される必要があります。
提供計画が受理された医療機関の情報は厚生労働省のウェブサイトで公開されているため、気になる医院があれば確認してみるとよいでしょう。
「再生医療」とうたっていても、法律にもとづく手続きを経ていない治療でないかを見極めることが大切です。
根管治療の精度と感染対策
歯髄再生治療では、移植する前に根管内の細菌をできる限り取り除いておくことが、治療の結果を左右します。
そのため、マイクロスコープやラバーダムを使った精密な根管治療に取り組んでいるか、清潔な環境で細胞を扱う体制があるかも確認したいポイントです。
治療の成功率や、成功率が下がりやすいケースについては、別の記事で詳しくまとめています。
詳しくは「歯髄再生治療の成功率は?下がるケースとクリニック選びのポイントも解説」をご覧ください。
関連記事歯髄再生治療の成功率は?下がるケースとクリニック選びのポイントも解説「歯髄再生治療の成功率は?」 「人やクリニックによって成功率は変わるの?」 歯髄 … 続きを読む →
メリットだけでなく限界やリスクも説明してくれるか
再生医療は新しい治療であるぶん、期待できることと同時に、うまくいかない可能性や治療期間の長さ、費用の負担についても理解しておく必要があります。
良い点だけを強調するのではなく、ほかの治療法との違いや、再生医療が向かないケースについても説明してくれる医院を選ぶと納得して治療を受けられます。
当院では、初診カウンセリングで60〜90分の時間をとり、CTで歯の状態を確認したうえで、再生医療が適しているかどうかをご説明しています。
複数の医院の説明を比べたい方も、まずはご自身の歯が対象になるかを知るところから始めてみてください。
いま受けられる歯髄再生治療の症例
すでに実用化されている歯髄再生治療について、当院で行った症例をご紹介します。

※効果・結果には個人差があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療内容 | 歯髄再生治療・象牙質再生治療(歯根端切除術を併用) |
| 治療期間 | 約1年 ※経過観察のため定期検診での受診をお願いしています |
| 治療費用 | 770,000円(税込) ※各種検査費用・かぶせ物の費用は別途 ※歯髄幹細胞の採取保管料は、アエラスバイオ社との保存契約により別途 |
| リスク・副作用 | 根の状態によっては治療の適応外となる、または細胞の培養ができない場合があります/移植後に歯髄が再生しない場合があります/根の炎症が大きい場合は外科処置が必要になる場合があります/根が完全に破折している場合は抜歯となります/治療期間が1年以上かかる場合があります |
神経が虫歯で死んでしまい、他院で根管治療を受けていた歯の症例です。
根の先に側枝と呼ばれる枝分かれした細い根管があり、洗浄しきれなかったため、歯根端切除術を行ったうえで歯髄幹細胞を移植しました。
移植後1ヶ月で歯髄の反応が回復し、移植後半年でデンチンブリッジ(第二象牙質)の形成が確認されています。
根の先には骨が形成され、根尖が閉じ始めています。
歯髄再生治療の詳しい内容は「歯髄再生治療」のページでご覧いただけます。
よくある質問
歯の再生医療の実用化について、患者さんからよくいただく質問にお答えします。
歯の再生医療はいつから受けられますか?
歯の神経を再生する歯髄再生治療は、歯科再生医療協会の解説では2020年8月から実用化されており、提供計画が受理された歯科医院で受けることができます。
歯周組織再生療法もすでに一般の歯科診療で行われています。
一方で、抜けた歯を生やす薬は治験中で、2030年頃の実用化を目指すと報じられている段階です。
歯生え薬は虫歯で歯を失った大人にも使えますか?
現在の治験で想定されている最初の対象は、生まれつき歯が少ない先天性無歯症の方です。
虫歯や加齢で歯を失った方への応用は今後の計画とされており、いつ使えるようになるかはまだ分かっていません。
いまある歯を残すための治療を先に検討することをおすすめします。
歯髄再生治療に保険は使えますか?
歯髄再生治療は再生医療等安全性確保法にもとづく自由診療のため、健康保険は使えず全額自己負担となります。
当院は自由診療専門のため保険診療は行っていません。
費用の目安は料金表でご確認いただけますが、必要な処置は歯の状態によって変わるため、検査のうえでご説明します。
カウンセリングだけでも受けられますか?
はい、カウンセリングだけのご相談も受け付けています。
初診カウンセリングは9,900円(60〜90分・CT含む)で、歯の状態を確認したうえで再生医療の対象になるかどうかをご説明します。
その日に治療を無理にお勧めすることはありませんので、話を聞いてからじっくり検討したい方もお気軽にお越しください。
まとめ

歯の再生医療のうち、歯髄再生治療と象牙質再生治療、歯周組織再生療法はすでに実用化されており、いま歯科医院で受けることができます。
歯科再生医療協会の解説では、歯髄再生治療は2020年8月、象牙質再生治療は2023年6月から実用化されたとされ、いずれも法律にもとづく手続きを経た医院で提供されています。
一方で、歯を生やす薬は第I相治験の段階にあり、2030年頃の実用化を目指すと報じられていますが、虫歯や加齢で歯を失った方への応用はさらに先の見通しです。
研究段階の技術を待つよりも、いまある歯を残すためにどの治療が使えるかを知ることが、歯を長く守るための近道といえます。
神経を抜くと言われた歯がある方や、歯髄再生治療の対象になるか知りたい方は、まず歯の状態を詳しく調べるところから始めてみてください。
ご予約はお電話または赤坂さくら歯科・矯正歯科の公式サイトから可能です。

監修医師:土黒 さくら
- 略 歴
- 2014年 鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 東京医科歯科大学 臨床研修歯科医
- 2015年 大型医療法人グループ歯科医院 勤務
- 2016年 大型医療法人グループ歯科医院 分院長就任
- 2018年 港区赤坂の歯科医院 勤務
- 2020年 赤坂さくら歯科・矯正歯科 開院
- 2023年 医療法人社団桜麗会設立 理事長就任
- 所属学会等
- ・日本口腔インプラント学会
- ・日本歯周病学会
- ・東京SJCD歯科スタディーグループ
- ・インビザライン 認定ドクター
- ・日本顕微鏡歯科学会
