鏡を見たとき、歯と歯茎の境目がうっすら黒ずんでいて気になった経験はありませんか。
笑ったときや会話のときに相手の視線が気になり、思いきり口を開けて笑えない、という方も少なくありません。
歯と歯茎の境目が黒い状態は、見た目の印象を大きく左右するだけでなく、虫歯や歯周病といったお口のトラブルのサインであることもあります。
一方で、境目だけでなく歯茎全体が黒ずんでいる、歯と歯の隙間が黒く見える、痛くないのに黒いといったように、黒ずみの現れ方は人によってさまざまです。
この記事では、歯と歯茎の境目が黒くなる主な原因に加えて、歯茎全体の黒ずみや歯の隙間の黒ずみで考えられること、原因ごとの見分け方、ガムピーリングやセラミックなどの治し方と費用の目安までを一つの記事で整理してお伝えします。
原因が分かれば適切な対処で目立たなくできるケースは多く、過度に不安になる必要はありませんので、ご自身の状態に近い項目から読み進めてみてください。
目次
歯と歯茎の境目が黒い主な原因

歯と歯茎の境目が黒く見える原因は一つではなく、黒いのが「歯」なのか「歯茎」なのかによっても考えられることが変わります。
ここではまず、境目が黒く見える代表的な原因を順に見ていきましょう。
虫歯による黒ずみ
歯と歯茎の境目は、歯ブラシが届きにくく汚れがたまりやすいため、虫歯ができやすい場所です。
初期の虫歯は白く濁って見えることもありますが、進行すると歯質が溶けて茶色から黒色に変色していきます。
特に、歯茎が下がって露出した歯の根元は、表面のエナメル質よりやわらかく虫歯が進みやすいため注意が必要です。
触れると引っかかりを感じたり、冷たいものがしみたりする場合は、虫歯が原因の黒ずみである可能性が高いといえます。
歯石や着色汚れによる黒ずみ
歯と歯茎の境目に黒っぽい筋状のものが見える場合、歯茎の内側にたまった「黒い歯石」が原因のこともあります。
歯茎の中で固まった歯石は出血した血液を巻き込んで黒ずみ、外から見ると境目が暗く見える原因になります。
また、コーヒーや紅茶、赤ワイン、タバコのヤニなどによる着色汚れが、境目の溝に沿って沈着して黒ずんで見えることもあります。
これらは歯そのものの変色ではなく表面に付着した汚れであることが多く、比較的対処しやすいタイプです。
歯茎のメラニン色素沈着
歯茎そのものが黒っぽい、あるいは紫がかった色をしている場合は、メラニン色素の沈着が考えられます。
これは皮膚が日焼けで黒くなるのと同じ仕組みで、喫煙や口呼吸、紫外線、唇をなめる癖などの刺激によってメラニン色素が増えることで起こります。
痛みや出血をともなわず、左右の歯茎に広がるように色づいているのが特徴です。
病気ではないため健康上の心配は少ないものの、見た目が気になる方が多い原因の一つです。
銀歯や被せ物の金属によるメタルタトゥー
差し歯や銀歯など金属を使った被せ物が入っている歯で、歯茎との境目が黒ずんでいる場合は、金属が関係している可能性が高いといえます。
長い年月のあいだに金属がわずかに溶け出し、その金属イオンが歯茎に染み込んで黒く変色した状態を「メタルタトゥー」と呼びます。
また、被せ物の内側にある金属のフチが、歯茎が下がることで透けて黒い線のように見えるケースもあり、これは「ブラックマージン」と呼ばれます。
いずれも金属を使った治療に由来するもので、差し歯の歯茎が黒ずむ代表的な原因です。
銀歯の歯茎が黒い、いわゆるメタルタトゥーは、自然に消えることはほとんどありません。
神経が死んだ歯の変色
過去に大きな虫歯を治療した歯や、ぶつけるなどの強い衝撃を受けた歯では、内部の神経が失われていることがあります。
神経を失った歯は栄養が行き渡らなくなり、時間とともに内側からグレーがかった黒色へと変色していきます。
歯の根元、つまり歯と歯茎の境目あたりからくすんで見えることが多く、痛みがないまま色だけが濃くなっていくのが特徴です。
神経が死んだ歯の変色や治療については「神経が死んだ歯を治療したい!治療法や放置した場合のリスクを解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
歯周病による歯茎の退縮と変色
歯周病が進行すると歯茎が炎症を起こし、赤黒くうっ血したような色味になることがあります。
さらに歯茎が下がって歯の根元が露出すると、それまで隠れていた根の部分や被せ物のフチが見えるようになり、境目が黒く目立つようになります。
歯磨きのときに血が出る、歯茎が腫れぼったい、口臭が気になるといったサインがある場合は、歯周病が背景にある黒ずみかもしれません。
歯茎の腫れが気になる方は「歯茎の腫れを放置するとどうなる?知っておくべきリスクと予防策」もあわせてお読みください。
「痛くないのに黒い」は安心のサインではない理由

歯と歯茎の境目が黒いけれど痛みはない、という方はとても多く、痛くないから大丈夫だろうと様子を見てしまいがちです。
しかし、痛みがないことは、原因が軽いことを意味するわけではありません。
たとえば、神経が死んだ歯は感覚を伝える神経そのものが失われているため、内部で変色や感染が進んでいても痛みを感じにくいのが特徴です。
歯と歯の間にできる隣接面の虫歯も、初期のうちは象牙質の深くまで達していないため、ほとんど自覚症状がないまま進行することがあります。
メタルタトゥーやメラニン色素沈着も、歯茎の組織に色素が沈着しているだけなので痛みはありませんが、放置しても自然に薄くなることはほとんどありません。
逆に、痛みが出てきたときには虫歯が神経に達していたり、歯周病でかなり骨が失われていたりと、治療の選択肢が狭まっていることも少なくないのです。
痛くないのに黒い場合は「急ぐ必要はないが、原因を確認しておく価値は十分にある」と捉え、次に紹介する見分け方を参考にしつつ、一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
原因ごとの見分け方の目安

原因を正確に診断するには歯科医院での検査が欠かせませんが、ご自身でおおよその見当をつける手がかりはあります。
まず、黒いのが「歯」なのか「歯茎」なのかを確認してみてください。
歯そのものが黒い場合は虫歯や神経が死んだ歯の変色が、歯茎が黒い場合はメラニン色素沈着やメタルタトゥーが疑われます。
次に、その歯に銀歯や差し歯が入っているかどうかを思い出してみましょう。
金属を使った被せ物がある歯の境目が黒いなら、メタルタトゥーやブラックマージンの可能性が高くなります。
また、しみる・痛む・出血するといった症状をともなうかどうかも重要な手がかりです。
痛みやしみる感覚があれば虫歯、出血や腫れがあれば歯周病、まったく症状がなく色だけが気になるならメラニン色素沈着や金属による着色が考えやすいといえます。
色の違いや黒ずみの場所、範囲もあわせて整理すると、下の表のように切り分けることができます。
| 考えられる原因 | 色の傾向 | 黒い場所 | 範囲 | 痛み・症状 | 銀歯・差し歯 |
|---|---|---|---|---|---|
| 虫歯 | 茶色から黒 | 歯の根元・歯と歯の間 | 1本または数本 | しみる・引っかかりがあることも | 関係なし(詰め物の下に再発することも) |
| 黒い歯石・着色 | 黒っぽい筋状 | 歯と歯茎の境目の溝・歯の隙間 | 複数の歯に連続 | 出血や口臭をともなうことがある | 関係なし |
| メラニン色素沈着 | 黒〜紫がかった褐色 | 歯茎全体(特に前歯の外側) | 左右対称に広がる | なし | 関係なし |
| メタルタトゥー・ブラックマージン | 黒〜青黒いグレー | 被せ物のフチ周辺の歯茎 | その歯の周りだけ | なし | あり |
| 神経が死んだ歯 | グレー〜暗い黒 | 歯そのもの(根元からくすむ) | 1本だけ | なし(噛むと違和感が出ることも) | どちらもあり得る |
| 歯周病 | 赤黒い・紫 | 歯茎(境目から全体へ) | 広い範囲 | 出血・腫れ・口臭 | 関係なし |
ただし、これらはあくまで目安であり、複数の原因が重なっていることもあります。
自己判断で放置せず、気になったら早めに歯科医院で確認することをおすすめします。
歯茎全体が黒い・黒ずんでいる場合の原因

歯と歯茎の境目だけでなく、歯茎そのものが全体的に黒っぽい、あるいは黒ずんで見えるという相談も多くいただきます。
境目だけが黒い場合は虫歯や金属など「その歯に関係する原因」が中心になるのに対し、歯茎全体が黒い場合は歯茎の組織そのものに色がついている状態であることがほとんどです。
ここでは、歯茎全体の黒ずみで考えられる主な原因を整理します。
メラニン色素沈着(喫煙・受動喫煙・紫外線・遺伝)
歯茎全体の黒ずみでもっとも多いのが、メラニン色素の沈着です。
タバコに含まれるニコチンやタールは歯茎への刺激となり、メラニンを作る細胞を活性化させて色素を増やすことが知られています。
ご自身が喫煙していなくても、家族の喫煙による受動喫煙で歯茎が黒ずむことがあり、お子さんの歯茎の黒ずみの一因として指摘されることもあります。
紫外線や口呼吸による乾燥、辛い食べ物などの刺激も、程度は小さいながら影響します。
また、肌の色と同じように、生まれつき歯茎のメラニンが多い体質の方もいて、この場合は病気ではなく個人差の範囲です。
メラニンによる黒ずみは左右対称に広がり、前歯の外側の歯茎で目立ちやすいのが特徴で、痛みや出血はともないません。
金属による沈着(メタルタトゥー)
境目の原因としても紹介したメタルタトゥーは、範囲が広がると歯茎全体が黒ずんで見えることがあります。
被せ物の金属だけでなく、過去に詰めたアマルガムという金属の破片が歯茎に残って黒く見えるケースもあります。
メラニン色素沈着との違いは、黒ずみが被せ物のある歯の周りに限られている点や、色味が青黒いグレーに近い点です。
薬剤の影響による色素沈着
あまり知られていませんが、一部のお薬の長期服用によって歯茎や口の中の粘膜に色素が沈着することがあります。
抗マラリア薬や一部の抗生物質、抗がん剤、ホルモン剤などが例として知られており、口の中だけでなく皮膚にも色の変化が出ることがあります。
思い当たるお薬がある場合は、自己判断で服用をやめるのではなく、かかりつけの医師や歯科医師に相談してください。
血行不良や歯周病による色の変化
健康な歯茎は血流が豊かで薄いピンク色をしていますが、歯周病による慢性的な炎症や血行不良があると、赤黒くうっ血したような色に変わります。
喫煙は血管を収縮させて歯茎の血流を悪くするため、メラニンの増加と血行不良の両方から歯茎を黒ずませる要因になります。
この場合、色だけでなく歯磨き時の出血や腫れ、歯茎の下がりといった症状をともなうことが多く、見た目の改善よりも先に歯周病の治療が必要になります。
非常にまれですが、黒い部分が盛り上がっている、急に大きくなった、一部分だけ色が濃くなったという場合は、良性・悪性を含めた腫瘍性の変化を除外するために、早めの受診が必要です。
歯の隙間が黒い場合に考えられること
歯と歯茎の境目ではなく、歯と歯の隙間が黒く見えるというご相談も少なくありません。
歯の隙間は歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れも溜まりやすいうえ、正面からは見えにくいため、気づいたときには黒ずみが進んでいることがあります。
歯の隙間が黒い場合に考えられるものとして、次の4つが挙げられます。
隣接面の虫歯(歯と歯の間の虫歯)
歯と歯が接している面にできる虫歯を「隣接面う蝕」と呼び、歯の隙間が黒く見える原因としてもっとも注意したいものです。
隣接面の虫歯は外から直接見えにくく、鏡で黒い影に気づいたときには、内部でかなり広がっていることがあります。
初期には痛みがほとんどなく、フロスが引っかかる、フロスがほつれる、糸ようじが切れやすいといった小さな変化が最初のサインになることもあります。
歯科医院ではレントゲンで隣接面の虫歯を確認できるため、隙間の黒ずみが気になる場合は早めに検査を受けることをおすすめします。
歯の隙間にたまった歯石
歯と歯の間は歯石が付きやすく、歯茎からの出血を巻き込んだ黒い歯石が隙間を暗く見せることがあります。
歯石は一度固まると歯ブラシやフロスでは取れず、歯周病を悪化させる原因にもなるため、歯科医院での除去が必要です。
ブラックトライアングル(歯茎が下がってできる三角の隙間)
歯と歯の間の歯茎が下がると、本来歯茎で埋まっていた部分に三角形の隙間ができ、その奥が暗く見えることがあります。
この状態は「ブラックトライアングル」と呼ばれ、歯周病や加齢による歯茎の退縮のほか、矯正治療で歯並びが整った結果として現れることもあります。
黒く見えているのは汚れや虫歯ではなく口の中の暗さそのものなので、クリーニングでは改善しません。
見た目が気になる場合は、隙間を埋めるダイレクトボンディングやセラミック、歯茎の再生を目指す処置などを検討します。
下がった歯茎への対処については「下がった歯茎は復活できる?歯周組織再生治療を詳しく紹介」で詳しく解説しています。
着色や古い詰め物の変色
コーヒーやお茶、赤ワインなどの色素は、歯と歯の間のように磨き残しが多い場所に付着しやすく、隙間を黒っぽく見せることがあります。
また、以前に詰めた歯科用プラスチック(レジン)は年数がたつと水分を吸って変色し、詰め物のフチが黒ずんで見えることがあります。
着色はクリーニングで落とせますが、詰め物の変色はフチから虫歯が再発しているサインのこともあるため、歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
歯と歯茎の境目の黒いのを治す方法
歯と歯茎の境目の黒ずみは、原因に合わせて治療法を選ぶことで改善が期待できます。
ここでは代表的な治し方を、どの原因に向いているかとあわせて紹介します。
歯のクリーニング・歯石除去
着色汚れや歯石が原因の黒ずみであれば、歯科医院でのクリーニングや歯石除去で改善できることが多くあります。
専用の器具で歯茎の中の黒い歯石まで丁寧に取り除き、表面に付着したステインを落とすことで、境目の暗い印象がやわらぎます。
比較的負担が少なく、歯周病の予防にもつながるため、まず受けておきたい基本的な処置です。
ガムピーリング(歯茎のホワイトニング)
メラニン色素の沈着で歯茎が黒ずんでいる場合には、ガムピーリングが有効です。
専用の薬剤を歯茎に塗布する方法や、レーザーを照射する方法があり、古い表面の細胞を取り除いて健康的なピンク色の歯茎へと導きます。
喫煙や生活習慣による色素沈着に向いた方法で、複数回に分けて行うこともあります。
ただし、再び喫煙などの刺激が加わると色素が戻ることもあるため、生活習慣の見直しもあわせて大切になります。
薬剤とレーザーの違いや経過、費用などの詳細は、後ほど「歯茎が黒いのを治す方法(ガムピーリング)の詳細」の項目で解説します。
セラミックへの交換・メタルボンドの除去
銀歯や差し歯の金属が原因のメタルタトゥーやブラックマージンには、金属を含まないセラミックやジルコニアへの交換が根本的な解決策になります。
金属の被せ物を外し、メタルフリーの素材に置き換えることで、金属が溶け出すことも、フチが黒く透けることもなくなります。
すでに歯茎に染み込んでしまったメタルタトゥーの色素については、被せ物を交換しても残ることがあり、その場合はレーザーなどで色素を除去する処置を組み合わせます。
見た目が自然で金属アレルギーの心配もないため、審美的にも機能的にも満足度の高い方法です。
当院のセラミック治療については「審美歯科」のページをご覧ください。
虫歯治療・歯周病治療・神経の処置
虫歯が原因の黒ずみは、虫歯の部分を取り除いて詰め物や被せ物で修復します。
歯周病による歯茎の変色や退縮は、歯周病治療で炎症を落ち着かせることが先決で、状態によっては下がった歯茎を回復させる治療を検討することもあります。
神経が死んで変色した歯は、根の治療を行ったうえで、内側から白くするウォーキングブリーチやセラミックでの被せ物などで対応します。
歯の神経の役割や、神経を残す治療の考え方については「歯の神経とは?役割と「抜くとどうなる」を歯科医がやさしく解説」で解説しています。
このように、原因が異なれば必要な治療も変わるため、まずは正確な診断が出発点になります。
歯茎が黒いのを治す方法(ガムピーリング)の詳細
歯茎そのものの黒ずみを治す方法として、もっとも一般的なのがガムピーリングです。
「歯茎のホワイトニング」や「歯肉ピーリング」と呼ばれることもあり、メラニン色素で黒ずんだ歯茎の表層をはがして、新しいピンク色の歯茎に置き換える処置です。
ここでは、受ける前に知っておきたい方法の違いや経過、費用、向き不向きを詳しく説明します。
薬剤(フェノール・アルコール法)とレーザーの違い
ガムピーリングには、大きく分けて薬剤を使う方法とレーザーを使う方法があります。
薬剤による方法は、フェノールという薬剤を歯茎に塗ってメラニンを含む表層をタンパク変性させ、その後アルコールで中和するもので、「フェノール・アルコール法」と呼ばれます。
特別な機器を必要とせず、1回あたりの処置時間が短く、広い範囲を一度に処置しやすいのが特徴です。
レーザーによる方法は、歯科用レーザーでメラニンを含む歯茎の表層を蒸散させるもので、範囲や深さを細かくコントロールしやすいという特徴があります。
レーザーでは処置中の刺激をおさえるために表面麻酔や局所麻酔を使うことが一般的で、薬剤法よりも1回の処置に時間がかかることがあります。
どちらの方法が向いているかは、黒ずみの範囲や深さ、歯茎の厚み、医院の設備によって異なるため、診察のうえでご相談ください。
施術時間と回数の目安
薬剤法の場合、1回の処置は塗布と中和を含めて10分から20分程度で終わることが多く、当日はそのまま帰宅できます。
回数は黒ずみの濃さや範囲によって異なり、薄い方は1回から2回、濃い方は1週間から2週間ほど間隔をあけて3回から4回ほど行うことがあります。
上下の歯茎を別々の日に分けて行う医院もあり、全体で1か月から2か月程度を見込んでおくと安心です。
痛み・ヒリヒリ感と処置後の経過
薬剤を塗布したときに、ピリピリ、ヒリヒリとした刺激を感じることがありますが、多くの場合は数分から数時間でおさまります。
処置直後は薬剤の作用で歯茎の表面が白っぽく変化し、これは想定どおりの反応です。
その後2日から3日ほどで白くなった表層が薄い膜のようにはがれ、下から新しいピンク色の歯茎が現れてきます。
ピンク色が落ち着いて安定するまでの目安は1週間から2週間程度で、この間は熱いものや刺激の強い食べ物でしみることがあります。
はがれかけた表層を指や舌で無理にむくと、治りが遅れたり色むらの原因になったりするため、自然にはがれるのを待つようにしてください。
ダウンタイムと生活上の注意
ガムピーリングは腫れや出血がほとんどなく、仕事や学校を休む必要はないため、ダウンタイムは短い処置といえます。
ただし、処置当日から数日間は、香辛料の強い食べ物、酸味の強い飲み物、アルコール、熱い飲食物を控え、歯磨きも患部をやさしく磨くようにします。
処置後の歯茎は新しい皮膚と同じようにデリケートなので、この期間の喫煙は避けてください。
後戻りと再発について
ガムピーリングで得られたピンク色は永久に続くものではなく、メラニンを増やす刺激が続けば再び黒ずんでくることがあります。
特に喫煙を続けている方は数か月から1年程度で再発することが多く、禁煙が最大の予防策になります。
受動喫煙や口呼吸、紫外線も影響しますので、生活習慣の見直しをあわせて行うことで、良い状態を長く保ちやすくなります。
費用の目安と保険適用
ガムピーリングは見た目を改善するための処置であるため、健康保険は適用されず、自由診療となります。
一般的な目安として、薬剤法で上下どちらか片方あたり1回5,000円から15,000円程度、レーザー法では片方あたり10,000円から30,000円程度に設定している医院が多いようです。
回数を重ねる場合はその分の費用がかかりますので、総額で確認しておくと安心です。
当院では、歯茎の状態と黒ずみの範囲を診察したうえで、方法と回数、費用をご案内しています。
ガムピーリングが向かない人・別の治療が必要な人
ガムピーリングは、メラニン色素による黒ずみに対して行う処置であり、すべての黒ずみに効果があるわけではありません。
金属によるメタルタトゥーは色素が歯茎の深い層まで入り込んでいるため、通常のガムピーリングでは取り切れず、被せ物の交換やレーザーによる別の処置が必要になります。
歯周病で炎症が強い歯茎、出血しやすい歯茎に対しては、まず歯周病の治療を優先し、状態が落ち着いてから検討します。
薬剤にアレルギーがある方、妊娠中や授乳中の方、口の中に潰瘍や傷がある方は、時期をずらすか別の方法を相談することになります。
また、生まれつきメラニンが多い体質の方は、処置後にある程度色が戻る可能性があることを理解したうえで受けていただく必要があります。
自宅で治せる?市販のケアの限界
歯と歯茎の境目や歯茎の黒ずみに対して、ご自宅でできるケアと、自宅では難しいことを整理しておきましょう。
まず自宅でできることとしては、毎日の丁寧な歯磨きと、歯と歯茎の境目を傷つけないやさしいブラッシングが挙げられます。
着色汚れの予防には、色の濃い飲食物のあとに口をゆすぐ習慣や、デンタルフロスや歯間ブラシでの歯間清掃も役立ちます。
メラニン色素沈着が気になる方は、禁煙や口呼吸の改善といった生活習慣の見直しが、これ以上の色素沈着を防ぐうえで効果的です。
一方で、自宅ではできないこともあります。
歯茎の中にこびりついた黒い歯石を自分で取ること、金属が原因のメタルタトゥーを消すこと、神経が死んだ歯の変色を白く戻すこと、これらはご自宅でのケアでは改善できません。
市販のホワイトニング歯磨き粉は、歯の表面の着色を落とすことを目的とした製品であり、歯茎に沈着したメラニン色素や金属イオンを取り除く作用はありません。
歯茎のマッサージ用ジェルや「歯茎をピンクにする」とうたう製品も、血行を促してハリを保つ目的のものが中心で、すでに沈着した色素そのものを消す効果は期待できないとお考えください。
市販のグッズで無理に黒い部分をこすると、歯や歯茎を傷つけてかえって悪化させる恐れがあるため避けてください。
自宅ケアはあくまで予防と現状維持が中心であり、すでにある黒ずみを治すには歯科医院での処置が必要だとお考えいただくのがよいでしょう。
黒いまま放置するとどうなる?リスクについて
歯と歯茎の境目の黒ずみを見た目の問題だと考え、そのままにしてしまう方もいらっしゃいます。
しかし原因によっては、放置することでお口の健康に影響が及ぶこともあります。
虫歯が原因の黒ずみを放置すれば、虫歯はさらに進行し、神経にまで達して強い痛みが出たり、最終的に歯を失ったりするリスクが高まります。
歯周病による変色を見過ごせば、歯を支える骨が溶けていき、やがて歯がぐらついて抜けてしまうこともあります。
メタルタトゥーや金属の溶け出しを放置すると、色素沈着の範囲が広がり、後から治そうとしても改善が難しくなる場合があります。
見た目の悩みが続くこと自体も、笑顔や会話への自信を損ない、日々の生活の質に影響します。
原因を早く突き止めて適切に対処することが、見た目の改善と健康の両方を守ることにつながります。
治療にかかる費用の目安
費用は原因や治療法、医院によって幅がありますが、おおよその目安を知っておくと相談がしやすくなります。
クリーニングや歯石除去、虫歯治療、歯周病の基本的な治療は、保険が適用されることが多く、比較的少ない負担で受けられます。
一方、ガムピーリングやセラミックへの交換、メタルタトゥーの除去などは見た目を改善するための治療で、原則として自由診療となり費用は全額自己負担になります。
以下は治療ごとの一般的な目安であり、当院の料金を示すものではありません。
| 治療内容 | 向いている原因 | 保険適用 | 一般的な費用の目安 |
|---|---|---|---|
| クリーニング・歯石除去 | 着色汚れ・黒い歯石 | 歯周病の検査と治療の一環であれば適用 | 保険で数千円程度、自由診療のPMTCは5,000円から20,000円程度 |
| ガムピーリング | メラニン色素沈着 | 適用外 | 片顎1回あたり5,000円から30,000円程度(方法により異なる) |
| セラミック・ジルコニアへの交換 | メタルタトゥー・ブラックマージン | 適用外(一部の白い被せ物は保険適用の場合あり) | 1本あたり80,000円から200,000円程度 |
| 虫歯治療(詰め物・被せ物) | 虫歯 | 適用(素材により自由診療) | 保険で数千円から1万円台、セラミックは上記に準じる |
| 根管治療・変色歯の処置 | 神経が死んだ歯 | 根管治療は適用、ウォーキングブリーチは適用外が多い | 保険で数千円から1万円台、精密根管治療は50,000円から150,000円程度 |
| 歯周病治療 | 歯周病による変色・退縮 | 適用 | 保険で数千円程度(回数により変動) |
ガムピーリングは範囲や回数によって、セラミックの被せ物は使用する素材や本数によって費用が変わります。
正確な費用は、お口の状態を診たうえでないと判断できません。
当院では、検査と診断のうえでどの治療がご自身に合っているか、費用がどのくらいかかるかを具体的にご案内していますので、まずはご相談ください。
歯と歯茎の黒ずみに関するよくある質問
診察の際によくいただくご質問を、5つに絞ってお答えします。
子どもの歯茎が黒いのですが、病気でしょうか
お子さんの歯茎が黒ずんでいる場合、多くは体質的なメラニン色素や、家族の喫煙による受動喫煙の影響で、病気ではないことがほとんどです。
ただし、乳歯をぶつけた後に歯そのものが黒くなった場合は神経が傷んでいる可能性があり、歯茎の一部だけが盛り上がって黒い場合は別の原因も考えられます。
お子さんへのガムピーリングは一般的に行わず、成長にともなって色が変わることもあるため、まずは小児歯科や一般歯科で状態を確認してもらうと安心です。
黒い部分が少しずつ広がってきました
黒ずみの範囲が広がってきた場合は、虫歯や歯周病の進行、金属の溶け出しなど、何らかの変化が進んでいるサインである可能性があります。
メラニン色素沈着でも喫煙が続けば範囲は広がりますが、境目から歯の中へ黒さが入り込んでいるようなら虫歯を疑います。
広がり方や色の変化をスマートフォンで記録しておくと診察時に役立ちますので、早めに受診してください。
セラミックにしたのに境目がまだ黒いのはなぜですか
セラミックに交換しても黒ずみが残る場合、以前の金属によるメタルタトゥーがすでに歯茎に沈着していることが考えられます。
この色素は被せ物を替えただけでは消えないため、レーザーや外科的な処置で色素を含む歯茎を除去する治療を検討します。
また、被せ物の内側の土台に金属が残っている場合や、歯の根そのものが変色している場合も境目が暗く見えることがあるため、レントゲンで確認してもらいましょう。
境目の黒い線は歯石ですか、それとも虫歯ですか
歯茎に沿って複数の歯に連続した黒い筋が見える場合は、歯茎の中の黒い歯石か着色汚れであることが多く、クリーニングで改善が期待できます。
一方、特定の1本だけが黒く、表面に段差や穴があったり、しみたりする場合は虫歯の可能性が高くなります。
見た目だけで区別するのは難しいため、歯科医院で器具による触診とレントゲンで確認してもらうのが確実です。
何科に行けばいいですか、どんな歯医者を選べばいいですか
歯や歯茎の黒ずみは、皮膚科や内科ではなく歯科の領域で、まずは一般歯科で原因を診断してもらうのが基本です。
原因によって虫歯治療、歯周病治療、根管治療、審美治療と対応する分野が分かれるため、これらを一つの医院で相談できるところを選ぶと通院の負担が少なくなります。
特に、セラミック治療やガムピーリング、根管治療の実績があり、治療前に費用と選択肢を丁寧に説明してくれる医院を選ぶと安心です。
歯と歯茎の境目の黒いのが気になる方は赤坂さくら歯科・矯正歯科クリニックへ
歯と歯茎の境目が黒い原因は一つではなく、虫歯や歯石、メラニン色素沈着、銀歯のメタルタトゥー、神経が死んだ歯の変色、歯周病による退縮など、人によってさまざまです。
歯茎全体の黒ずみや歯の隙間の黒ずみも、原因によって適した対処が異なります。
だからこそ、見た目だけで判断せず、何が原因で黒くなっているのかを正しく見極めることが、改善への一番の近道になります。
赤坂さくら歯科・矯正歯科クリニックでは、お一人おひとりのお口の状態を丁寧に診察し、原因に合わせた治療法と費用の目安をわかりやすくご説明します。
虫歯や歯周病の治療から精密な根管治療、セラミックによる審美治療まで一つの医院で対応できますので、東京・赤坂で歯と歯茎の境目の黒ずみにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
歯と歯茎の境目が黒く見える背景には、虫歯、歯石や着色汚れ、歯茎のメラニン色素沈着、金属によるメタルタトゥー、神経が死んだ歯の変色、歯周病による退縮といった複数の原因が考えられます。
歯茎全体が黒い場合はメラニン色素や薬剤、血行不良が、歯の隙間が黒い場合は隣接面の虫歯やブラックトライアングルが関係していることもあります。
痛くないからといって安心できるとは限らず、神経が死んだ歯や歯と歯の間の虫歯は症状のないまま進むことがあります。
黒いのが歯なのか歯茎なのか、金属の被せ物があるか、しみや出血があるかといった点が、原因を見分ける手がかりになります。
治し方も、クリーニングや歯石除去、ガムピーリング、セラミックへの交換、虫歯や歯周病の治療など、原因によって変わります。
ご自宅でできるのは予防と現状維持が中心で、すでにある黒ずみを治すには歯科医院での処置が欠かせません。
原因の中には放置すると健康を損なうものもあるため、気になったら早めに歯科医院で相談し、ご自身に合った方法で笑顔に自信を取り戻していただければと思います。

監修医師:土黒 さくら
- 略 歴
- 2014年 鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 東京医科歯科大学 臨床研修歯科医
- 2015年 大型医療法人グループ歯科医院 勤務
- 2016年 大型医療法人グループ歯科医院 分院長就任
- 2018年 港区赤坂の歯科医院 勤務
- 2020年 赤坂さくら歯科・矯正歯科 開院
- 2023年 医療法人社団桜麗会設立 理事長就任
- 所属学会等
- ・日本口腔インプラント学会
- ・日本歯周病学会
- ・東京SJCD歯科スタディーグループ
- ・インビザライン 認定ドクター
- ・日本顕微鏡歯科学会
