インプラントを希望して歯科医院を訪れたのに、「骨が足りないので難しい」と言われて戸惑った方は少なくありません。けれども、骨が足りないという理由だけでインプラントをあきらめる必要はほとんどないのです。足りない骨を補う骨造成という治療によって、これまで難しいとされたケースでも噛む機能を取り戻せる可能性が広がってきました。
この記事では、港区赤坂で朝7時半から診療している赤坂さくら歯科・矯正歯科が、骨造成とはどのような治療なのか、種類と使い分け、費用や治療期間の目安、そして見落とされがちな治療計画の考え方までを、臨床の視点を交えてお伝えします。
目次
骨が足りなくてもインプラントをあきらめなくてよい
はじめにお伝えしたいのは、「骨がないからインプラントはできない」という言葉が、必ずしも治療の終わりを意味しないという事実です。骨造成は、不足した骨を人工的に補い、インプラントを支える土台を作り直す再生治療になります。他院で断られた方が、骨造成によって治療にたどり着けるケースは決して珍しくありません。
大切なのは、そもそも自分の骨がどれくらい不足しているのかを正確に知ることです。歯科用CTで骨の厚みや高さを立体的に把握してはじめて、骨造成が必要かどうか、どの方法が向いているかが見えてきます。まずは、なぜインプラントに骨の量が欠かせないのかから整理していきましょう。
なぜインプラントには骨の量が必要なのか

インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療です。つまり、埋め込む相手である骨が、人工歯根を支える土台そのものになります。土台となる骨に十分な厚みや高さがないと、人工歯根を安定して固定できません。無理に埋め込めば、骨から一部が露出したり、噛む力に耐えきれず早期に問題を起こしたりするおそれがあります。
とくに上顎の奥は、もともと骨が薄いうえに、すぐ上に上顎洞という大きな空洞が迫っているのです。下顎の奥では、太い神経が近くを走っています。こうした部位では、必要な骨の量を確保できるかどうかが、治療の成否を大きく左右するのです。
骨が足りなくなる主な原因
なぜ骨は足りなくなってしまうのでしょうか。最も多い原因は、歯を失ったまま時間が過ぎたことによる骨の吸収です。骨は噛む刺激を受けることで健康を保っていますが、歯を失うとその刺激がなくなり、少しずつ痩せていきます。歯を失うということは、歯だけでなく、それを支えていた骨も同時に失われていくことを意味するのです。
歯周病も見逃せない原因になります。歯周病が進むと歯を支える骨が溶かされ、抜歯に至るころには骨がかなり減っていることも珍しくありません。合わない入れ歯による圧迫や、過去の抜歯のときの状態も影響します。ここで知っておきたいのが、時間の経過とともに骨の吸収は進むという点です。早めに動くほど、必要な骨造成は小さく済み、体への負担も費用も抑えやすくなるでしょう。
骨造成とはどのような治療か
骨造成とは、不足した骨を補って再生させ、インプラントを埋め込める状態を作る治療の総称です。具体的には、骨が足りない部分に自分の骨や人工の骨を移植し、そこに新しい骨が育つのを待ちます。骨が再生するまでの期間は、部位や方法によって幅がありますが、おおむね4か月から6か月ほどが目安になります。
ここで一つ、専門的ですが重要な役割を担うのがメンブレンという膜です。骨を補った部分をこの膜で覆うと、骨よりも治りの早い歯茎の細胞が入り込むのを防ぎ、骨が育つためのスペースを確保できます。膜でしっかり守ることが、狙ったとおりに骨を再生させるための鍵になるでしょう。
骨を補う材料には何を使うのか
骨造成に使う材料には、いくつかの選択肢があります。一つは、自分の別の場所から採取する自家骨です。もう一つが、ハイドロキシアパタイトやβリン酸三カルシウムといったリン酸カルシウム系の人工骨になります。人工骨と聞くと体内に残り続ける異物のように感じるかもしれませんが、こうした材料の多くは、時間の経過とともに自分の骨に置き換わっていく性質を持っています。この置き換わりはリモデリングと呼ばれ、最終的には自分の骨として機能するようになるのです。
どの材料をどれだけ使うかは、不足している骨の量や部位によって変わります。小さな欠損であれば人工骨だけで十分なこともあり、その場合は自分の骨を採取する負担を減らせます。材料の選び方も、精密な診断があってはじめて適切に決められるのです。
骨造成の主な種類と使い分け

骨造成にはいくつかの方法があり、骨が足りない部位と不足の程度によって使い分けます。ここでは、代表的な三つの方法を見ていきましょう。
GBR(骨誘導再生法)
GBRは、骨の幅や高さが足りない部分に人工骨や自家骨を補い、メンブレンで覆って骨を再生させる方法です。上顎と下顎のどちらにも用いることができ、既存の骨の外側に骨を足していくのが特徴です。前歯の見た目を整えたい場合や、奥歯で骨の幅が足りない場合など、幅広いケースで選ばれます。インプラントの埋入と同時に行うこともあれば、先に骨を作ってから埋入することもあります。
サイナスリフト(ラテラルアプローチ)
サイナスリフトは、上顎の奥で骨の高さが大きく不足している場合に用いる方法です。頬側の歯茎を切開して顎の骨に小さな窓を開け、上顎洞を覆っているシュナイダー膜という薄い粘膜を持ち上げ、できたスペースに骨を補うのです。一度に広い範囲の骨を増やせるため、複数の歯が失われているケースにも対応しやすい反面、手術の範囲が広く、腫れや痛みが出やすい傾向があります。多くの場合、骨を作ってからしばらく待ち、あらためてインプラントを埋め込みます。
ソケットリフト(クレスタルアプローチ)
ソケットリフトは、同じく上顎の奥で、骨の高さが少しだけ足りない場合に選ばれる方法です。インプラントを埋める穴から専用の器具でシュナイダー膜を押し上げ、そこに骨を補います。傷口が小さく、痛みや腫れを抑えやすいのが利点で、骨を補うのと同時にインプラントを埋め込めることも多くあります。ただし、一度に増やせる骨の量は限られるため、不足がわずかなケースが対象になるでしょう。
見落とされがちな「同時法」と「段階法」の違い

ここで、上位の解説記事でもあまり明快に語られない、けれども治療計画を左右する大切な視点をお伝えします。骨造成には、インプラントの埋入と骨造成を一度の手術で行う同時法と、先に骨を作って治るのを待ってから埋入する段階法という二つの進め方があります。
どちらになるかを決めるのは、残っている自分の骨の量です。人工歯根を仮に固定できるだけの骨が残っていれば、同時法を選べます。反対に、残っている骨がごくわずかで人工歯根を支えられない場合は、まず骨造成だけを行い、6か月から9か月ほどかけて骨が育つのを待ってから埋入する段階法になります。
この違いは、治療の期間と通院の回数、そして費用に直結するのです。同時法であれば手術は一度で済み、全体の期間も短く抑えられます。段階法では手術が二段階になり、その分だけ期間が延びます。「骨造成が必要」と言われたときに、それが同時法なのか段階法なのかまで確認しておくと、治療の見通しがぐっと立てやすくなるでしょう。
骨造成のメリットとデメリット
骨造成には、大きな利点がある一方で、あらかじめ知っておきたい負担もあります。両面を正直に押さえておきましょう。
骨造成で得られるメリット
最大のメリットは、骨が足りずにあきらめかけていたインプラントが可能になる点です。加えて、十分な骨を確保できると、機能的にも見た目にも理想的な位置にインプラントを埋め込めます。骨に余裕のない位置へ無理に埋めるのではなく、正しい位置に支えを作れることは、長く快適に使い続けるうえで大きな意味を持ちます。骨造成は、単に本数を増やすためではなく、質の高い治療を実現するための土台づくりだといえるでしょう。
骨造成に伴うデメリット
一方で、段階法になると手術の回数が増え、治療期間も長くなります。骨を補った直後は腫れや痛みが出ることもあり、とくにサイナスリフトのように範囲の広い処置では、その傾向が強まります。インプラント本体の費用とは別に、骨造成の費用が加わる点も見逃せません。さらに、喫煙は骨の再生を妨げ、成功率を下げる要因になります。これらは決して特別なリスクではなく、事前の準備と管理によって十分に備えられるものです。
費用と治療期間の目安

費用は、どの方法で、どのくらいの範囲の骨を作るのかによって変わります。一般的な目安としては、ソケットリフトがおよそ3万円から10万円、GBRがおよそ10万円から15万円、サイナスリフトがおよそ15万円から30万円ほどとされ、いずれもインプラント本体の費用とは別に発生します。範囲が広がるほど費用は上がりやすくなるでしょう。
治療期間は、骨が再生するのを待つ時間が中心になります。骨造成からインプラントの完成までは、同時法でおおむね4か月から6か月、段階法や広範囲のサイナスリフトでは骨造成だけで6か月前後を要し、全体では1年近くかかることもあります。なお、機能回復を目的としたインプラントと骨造成は医療費控除の対象になり得ますので、支払った領収書は保管しておくとよいでしょう。正確な費用と期間は、検査のうえで見積もりとしてお伝えできます。
骨造成のリスクと成功率を高める工夫
骨造成は確立された治療ですが、外科処置である以上、リスクをゼロにはできません。代表的なものとして、上顎の処置ではシュナイダー膜が破れる可能性、下顎の処置では神経への配慮、そして共通する感染や、補った骨がうまく生着しない可能性が挙げられます。とくにサイナスリフトやソケットリフトは、直接見えにくい部分を扱うため、担当する歯科医師の技術や経験が結果を大きく左右するのです。
こうしたリスクを抑え、成功率を高めるためにできることもあります。まず、歯科用CTによる精密な診断で、骨や上顎洞、神経の位置を立体的に把握しておくことが欠かせません。次に、喫煙している方は治療前後の禁煙が骨の再生を助けます。歯周病がある場合は、そのコントロールを先に行うことも大切です。厚生労働省の資料でも、インプラントは骨としっかり結合させる工程を経るために一定の期間を要する治療と説明されており、骨造成を伴う場合はその考え方がいっそう当てはまります。
「骨造成が必要」と言われて迷ったときの考え方
骨造成をすすめられると、「本当に必要なのか」「もっと簡単な方法はないのか」と迷う方もいるでしょう。ここで理解しておきたいのは、骨造成の目的が、インプラントを機能的に正しい位置へ埋め込むことにあるという点です。骨の状態によっては、埋入の位置や角度を工夫したり、状況に応じた方法を選んだりすることで、造成を最小限にできる場合もあります。
ただし、負担を減らしたいあまりに、支えの足りない位置へ無理に埋め込むことは、かえって長期的なリスクを招きかねません。だからこそ、骨造成が必要かどうか、必要ならどの方法が向いているかは、CTによる診断をもとに総合的に判断することが欠かせません。判断に迷うときは、別の歯科医師の意見を聞くことも一つの方法です。気になる点があれば、赤坂さくら歯科・矯正歯科までお気軽にご相談ください。
赤坂さくら歯科・矯正歯科の骨造成とインプラント
赤坂さくら歯科・矯正歯科は、赤坂駅から徒歩30秒、朝7時半からの診療という通いやすさが特徴です。骨が足りないと言われた方にも治療の道を広げられるよう、骨再生治療や骨造成に力を入れています。
当院では、GBR、上顎の奥に対応するサイナスリフト(ラテラルアプローチ)やソケットリフト(クレスタルアプローチ)など、複数の方法から骨の状態に合わせて選べます。診断にはデジタル歯科用CTを用い、骨や上顎洞、神経の位置を立体的に把握したうえで治療を計画しているのです。他院で難しいと言われた方の治療につなげてきた実績もあります。担当するのは日本口腔インプラント学会の専門医でEAO認定医でもある歯科医師で、緊張しやすい方には麻酔を専門に担当する歯科医師による静脈内鎮静法も用意し、手術中の負担を和らげているのです。
骨が足りないと言われたら赤坂さくら歯科・矯正歯科へ相談を
インプラントに必要な骨が足りない場合でも、骨造成という選択肢があります。GBRやサイナスリフト、ソケットリフトといった方法を、骨の不足した部位や量に合わせて使い分けることで、これまで難しいとされたケースでも治療の可能性が広がります。大切なのは、同時法か段階法かも含めて、CT診断にもとづいて自分に合った計画を立てることです。
「骨がないからインプラントは無理」と言われて一度あきらめた方も、選択肢は思っているより残されているはずです。港区赤坂の赤坂さくら歯科・矯正歯科では、精密な検査をもとに、骨造成を含めた治療の見通しと費用をていねいにお伝えしています。気になる症状やご質問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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当院の症例


監修医師:土黒 さくら
- 略 歴
- 2014年 鹿児島大学歯学部 卒業
- 2014年 東京医科歯科大学 臨床研修歯科医
- 2015年 大型医療法人グループ歯科医院 勤務
- 2016年 大型医療法人グループ歯科医院 分院長就任
- 2018年 港区赤坂の歯科医院 勤務
- 2020年 赤坂さくら歯科・矯正歯科 開院
- 2023年 医療法人社団桜麗会設立 理事長就任
- 所属学会等
- ・日本口腔インプラント学会
- ・日本歯周病学会
- ・東京SJCD歯科スタディーグループ
- ・インビザライン 認定ドクター
- ・日本顕微鏡歯科学会
